お姉ちゃん


「お姉ちゃん」って、小さく口の中で呟いてみます。
そうするとフワフワッと優しい気持ちになるの。
背中がふんわり暖かくなって安心感がワーッと心の中一杯に広がっていくような…。

2歳年上なだけなのに私と全然違う。
とてもしっかりしていて頼れる存在です。
千佳と佳代二人っきりの姉妹です。

「エーッ、もしかして、あれはお姉ちゃん?」

なんだか良く見えないけれど(視力が悪いとこんな時、困るんだ)あのヒョコヒョコ歩く歩き方はお姉ちゃんとソックリ。
でも、どうして?
やっぱり人違いかな?
だってココは東京。
お姉ちゃんは今頃、名古屋で学校に行ってるはずだもの。
お姉ちゃんが東京に来る時は必ず事前に教えてくれるし。
何か重大な事でもあったのかしら?
ちょっとドキドキして複雑な気持ち。
思いがけない事があると不思議な感情が沸きあがって来ますね。

「やっぱり、お姉ちゃん!どうしたのよ?」

何を隠そう『スタードッキリ』の一場面でありました。
TV局の人も鋭いですね。
私がお姉ちゃん大好きだって調べてるんですね。
久しぶりのお姉ちゃんは相変わらず元気そう。
不意打ちのご対面!でビックリはしたけれど嬉しかったな。
TVカメラがあるのも忘れて岡田有希子から佐藤佳代の顔になっちゃった。

だけど『ドッキリ』って本当に本人には知らされていないんですね。
いつもは何でも話してくれるマネージャーさんも『ドッキリ』のドの字も素振りに現さないし。

ファンの皆さんなら、お姉ちゃんの顔はもうご存知ですよね。
新人賞の受賞式には、殆どお姉ちゃんが来てくれていますから。
お姉ちゃんは佳代にとって夢一杯の子供時代の大切なパートナーだったし、岡田有希子にとっては感謝してもしきれない位の存在なんです。

私の故郷、名古屋。
名古屋が大好きです。
これを書いてる今でも瞳を閉じれば懐かしい名古屋の風景が浮かんできます。

お母さんが寝込んでしまったと電話で知らされた時、情けなさと悔しさと申し訳なさでもう胸一杯になってしまいました。
ごめんね、お母さん。
もう後戻りは出来ない。
お願いだからレッスンを続けさせて…。
私の我がままだとは分かっていながら、やっと手に入れた歌手への道を振り捨てる事は出来ませんでした。
一番大変だったのはお姉ちゃんでした。
受験生のお姉ちゃんがお母さんに代わって家事一切をとり仕切る事になりました。
掃除・洗濯・お料理…
家族の身の回りの世話。
そして、お母さんの看病と全部なのです。
受験を経験した人ならわかるでしょ?
ただでさえ神経のイライラする毎日、焦りや不安の中で勉強しているというのに冬も追し迫ったある日、お姉ちゃんが志望大学を変えたと電話で知らされました。
あの当時も今も私に対して文句の一言も言いませんでした。
私も面と向かって「ごめんなさい」とは言えませんでした。

立場が逆だったら、きっと私はいつまでもブツブツ文句を言ってたのではないでしょうか。
有難う、お姉ちゃん。
お姉ちゃんの為にも頑張るからね。
今はそれしか言えません。
いつか、はっきりと「ごめんなさい」って口に出して言える日が来ると思う。
それまで待っててね。
お姉ちゃんを頼ってばかりの私だけど、小さい頃から、お姉ちゃん無しでは一日も過ごせない様な甘えっ子で、お姉ちゃんが赤い筆箱を買えば私も同じものを。
お姉ちゃんが髪にリボンを付けたら私も。
という位、何でもお姉ちゃんの真似ばかりしていました。
お姉ちゃんの後ばかり追いかけて、お姉ちゃんの友達と一緒に遊んで貰ったり。
懐かしいなぁ。

大ゲンカして「絶対に口なんか聞くものか!」と決心して、何時間かは目が合う度にプン!としているのね。
でも少し時間が経つと「ねぇ、お姉ちゃん」

さっきの決心はすっかり忘れてるんです。

それで又、ケンカして「今度は、せめて3日位は喋らないぞ!」と思ってもすぐ忘れてしまって「今日のTV何を見る?」

姉妹だからなんですね。
いくらケンカしても許し合える。
他人には言えないような事を言っても許してくれるというか。
こんな良いお姉ちゃんがいるのに一人っ子に目一杯、憧れた事がありました。

ケンカして、お母さんに叱られてグスンと泣いている時なんか「一人っ子だったらいいのになぁ。
お姉ちゃんなんていなくていいのに」なんて真剣に思いましたね。

一人っ子の友達は何でもいっぱい持っていたの。
玩具とか人形とか。
一人っ子だったらケーキだって半分ずつじゃなくて全部食べられるんだもの。
お姉ちゃんとケンカして怒られる事もないし。
なんて勝手なこと考えてたものです。
小さい頃の話ですけど…。

お母さんとお姉ちゃんが来てくれたコンサート。
二人は、その日のうちに名古屋に帰る事になっていました。
お婆ちゃん達が待ってますもの。
コンサートの様子を知りたくてお姉ちゃん達の報告を楽しみに待っているお父さんもいるしね。
だけど…。
「一緒にいて今日だけ。お願い帰らないで」
って我がまま言っちゃいました。
寂しさを癒してくれるのは今の私には家族しかありません。
お母さんはホテルの部屋に着いた途端「疲れた」と言って寝ちゃったの。
慣れない旅で疲れているのは判るけれど、たまにしか会えない娘と話をしたいと思わないのでしょうかね!?
お姉ちゃんとは少しTVを見ながら話をしたけど「じゃあ、私達も寝よう」
「うん、そうしよう」
二人が眠ってしまっても私は暫く眠れませんでした。
ベッドに横たわって右を見るとお母さん。
左にはお姉ちゃんがいて、それだけで、とても嬉しかった。
なんとなく一緒にいるっていう存在感が家族なんですよね。

今、歌手として頑張れるのも家族の協力があってのこと。

「お姉ちゃん、有難う。私、お姉ちゃんの妹でよかった!」

お姉ちゃんには聞こえないぐらい小さな声で呟いて、お母さんの方に身体を向けて甘えん坊の佳代は眠りにつきました。


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