「優秀放送音楽新人賞、岡田有希子さん!!」 司会者の方に名前を呼ばれて、ピンスポットが私だけを映し出します。 客席の人達が拍手をしています。 誰かが私の手を引いて舞台の中央に導いてくれます。 私はただボーッとして、頬が熱を持っている様で凄く暑くて手を触れると丸で火がついたよう。 落ち着きを取り戻して来ても信じられない気分。 私が新人賞?ウソ!? きっと夢なんだわ。きっとそうよ。 司会者の人がにこやかに「おめでとうございます。ご感想は?」 私の背に手を充ててマイクを向けて来ます。 「とても嬉しいです。 皆さん、どうもありがとうございました」 これだけ言うのが精一杯でした。 表彰式の時の私は泣きっぱなしでした。 デビューしてから夢中で頑張って来て、時には不安な気持ちに押し潰されそうになって、それでも、どうにか必死でやって来た。 新人賞は一生に1度しか貰えない物です。 そんな大切な賞を貰えて本当に嬉しいです。 この賞は私一人で貰えた物じゃないのですもの。 ファンやスタッフや家族の協力があったからこそ頂けたものです。 涙が後から後から溢れ出て来てしまい、顔はクシャクシャになってしまいました。 表彰の間、ずっと泣きっぱなしの私…。 受賞後、歌を唄う時は泣くのをこらえました。 会場のあちこちに私を応援してくれる人達のコールが聞こえて来ました。 デビューから今まで私はこれまで自分に出来る限りの努力をして来ました。 デビュー当時、私の歌をみんな聴いてくれるかしら… 芸能界で友達が出来るかしら… など不安な気持ちでいっぱいでした。 レコードが発売になって、憧れの歌手になれた嬉しさもあったけどデビュー後の自分は一体どうなるのかが心配でした。 それが沢山のファンの皆さんが応援してくれました。 私には何よりの励みでした。 学校と仕事の両立で悩んだり、疲れきった時、もう歌手を辞めて名古屋に帰っちゃおうかな…と思った事もありました。 そんな時「私は頑張らなくちゃ。 応援してくれるファンの皆さんを裏切れないわ。 弱虫な有希子はもっと強い子になるからね」って考え直すのです。 事務所の人達や私の為に働いてくれている人達にも簡単に辞めるなんて事は言ってはいけないのです。 私は今、憧れていた歌手になっているのです。 拍手が大きくて暖かな拍手が鮮明な響きとなり聞こえて来ました。 泣いてばかりじゃいけません。 歌う事が私の仕事。私の選んだ道。 キチンと歌わなければいけません。 まっ暗な会場の宙にお父さん、お母さんの嬉しそうな顔が浮かび上がって来ます。 私の隣りには大好きなお姉ちゃんが見守っていてくれます。 有難う皆さんって大きな声で叫びたい。 涙を流して泣きたい位、私は歌っています。 応援してくださる皆さんの為に…。 そして私の為にずっと歌い続けるでしょう。 きっと今が本当の意味での岡田有希子の出発点なのです。 私は頑張ります。 どんな辛い事や悲しい事があっても皆さんの励ましのがあれば出たがりの涙も遠慮してくれるでしょう。 私の涙は有難う…って。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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