小説

4/24(月森×土浦)
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君の事が好きだ

そう彼に告げて…答えを聞いてから幾日も

君の事が好きだ

そう彼に告げて…答えを聞いてから幾日も過ぎていない。



4/24



『月森、』

昼休み
練習室に行く途中だった。

『…土浦、、、なんだ?』

『今日の放課後、空けとけよ』

『……何故だ?』

『何故ってお前……わかんないのかよ…』

焦りを帯びた彼の声を怪訝に思いながらも
『解らない、教えてくれ』
と素直に返す。

『えー…と
少しな、用があるんだよ、練習終わった後でいいから…放課後講堂に来てくれ』

濁すような答えにまたもや怪訝な表情をしてしまう。
こんな顔をしたいんじゃない。

『…はぁ、分かった、行けばいいんだな?』

『サンキュー、じゃあ放課後な』


そう用件だけ告げると彼はそそくさを去って行ってしまった。

もっと話をしたかったのだが。

(用とは、なんだろうか…)

気にはなるがひとまず練習が先だ。

部屋に入り今度のアンサンブル曲の楽譜を広げる。

ー感傷的なワルツー

彼も好きな曲だ。お互いの思う解釈は違うが…。

『解釈の違い、か…』


彼は俺の告白をどうおもったのだろう…。

彼は言った
“ありがとう”
と。
最初はかなり驚いていた様だったが…

“ありがとう”とはどういう意味だろう。

彼も同じ気持ちだと、俺は勝手に受け取ってしまっていたのだろうか…

今更ながら不安になる。

俺は彼から、“好きだ”という言葉を聴いていない。




それから、練習には全く集中出来なかった。




―――放課後


土浦は練習が終わってからでいいと言ってくれたが…とても練習どころではない。

気が急いで足早に講堂に向かった。


扉の前まで来て気付いた。

―――ピアノの音。

(この音は…彼の音、、、俺の…好きな音)

少し扉を開き、静かに入った。
やはり、土浦が弾いていた。

胸に、深く響いてくる…痛みと共に。


誰の曲だ…?聴いたことない。
これはもしかして…。


ゆっくりと階段を降りる。



『土浦』


『・・・あ、』


曲の終わりに声をかけた。

『なっ…いつの間に来たんだよっ…声、かけろよな』

気づいてなかったのか…


びっくりさせるなよ、と彼は立ち上がる。

『声はかけたぞ、一応』

『……遅いんだよ』

『土浦、さっきの曲は…』

『あー聴いた?…よなぁ…はぁ〜実はまだ練習中なんだが…』

嘆く彼の近くにゆっくり足を進める。

『さっきの曲…もしかして君が作ったのか?』

『…………ああ』

照れ気味に頷いて

『ぉ、お前の為に作った…んだ』

と小さく呟いた。



(―え?)


一瞬何の話かと耳を疑った。


『な、何故俺の為に…?』

『だ、だからなんでわかんないんだよ!
お前今日誕生日だろっ』


言われて気付いた。


『誕生日…』

『そーだよ!
なんで自分の誕生日を忘れてるかね…』
盛大なため息をつかれた。
まぁお前らしいけど、と彼が言い終わらないうちに俺は手を伸ばした。

『………ありがとう』

と、頬に、触れた。

『あ、ああ…』

若干泳いでいた目が、漸くこちらを見つめてくれた。

頬に触れていた手を肩に下ろす。

『もう少し、君に近付いてもいいだろうか?』

『………あ、ああ』

肩の手をそっと背中に回し軽く抱き締めた。

彼の方が体が大きい。
が、それでもこの腕には収まる、彼の体温は。

『俺は…』

『え…』

硬直している彼の目を見つめ、また抱く。

『勘違い、していたのかと、思っていたんだ』

あの告白は…

『でも、ちゃんと君に届いていた』

俺の想いは…

そう伝えると彼も漸く腕を回してきてくれた。


『いや、その…俺…苦手なんだ…
あーいう時どうしていいかわかんねぇし』

『ああ』

『正直、戸惑ったし…その…ありえねぇって』

『…そうだろうな』

『でも、お前…真剣だっただろ?』

『…勿論だ』

『だからちゃんと考えた。ちゃんと考えたらこうなった。自分でももうよくわかんねぇ!』

『…俺も実はよくわからない』

『お前もかよ!』

『ただ……』

再び彼を見つめる。

『土浦、俺は不思議なくらい君の音に惹かれている』

『…!』

胸を締め付けるこの想いを…

これを恋と呼ぶのならば、

『そうだな…
俺も、そうかもしれない…初めて聴いた時から…』
幼い頃の思い出・・・。

『好きなのかもな…有り得ないけどな』
照れながら苦笑い。

『土浦…
………もっと触れてもいいか?』

『………一々聞くなよ』

しかめた唇に、触れていた指を離し、ゆっくりと己の唇を合わせた。


『もう一度………さっきの曲を弾いてくれないか?』

『・・・ああ、』


切なく、ただ…想いが溢れる。

ずっとこのまま君を…


君の音を抱き締めていたい。






end.






おまけ





『土浦、今度その曲を一緒に合わせないか?』


『・・・お前の為の曲をお前も一緒にやるのかよ?』


『………変だろうか?』

『………ちょっとな』


『………』


『………まぁ俺は構わないぜ』


『そうか、良かった』



(実はナルシスト…?)





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