1/2ページ目 「…」 ジー 携帯の液晶を見つめ、どのくらい経っただろうか。 しかもベッドの上に正座だ。 あの人のことを考えると、どうしたって緊張してしまう。 「あー!! なんで昔はあんな普通に話せたんだろ…」 いや、普通というより、だいぶ態度悪かったけど。 「…んー! やっぱ、もう電話無理かー!?」 こんなアホな私ですが、実は、一年前までちょっとは名の知れた不良だったんです。 「…はぁ…伊達さ〜ん…」 そんなムショ入り寸前、いやお先真っ暗な私を立ち直らせたのが、何を隠そう、今電話しようかしまいか悩んでいる伊達刑事だったんです。 「…明日も早いのに…全然眠れん…」 あの人は少年課でも生活安全課でもないくせに、必ず馬鹿な私を取っ捕まえに来る変なオッサンだった。 金髪プリンな頭に数え切れないピアスとだらし無い服装。 定番のコンビニ前にたむろしちゃあ喧嘩売ったり、カツアゲしたり。 あ、美人局なんかもやったけ。 とにかく、手当たり次第に何でもやったし、何でも諦めてた。 そんな私を、必ずあの人は捕まえに来るんだ。 「『おう、クソガキ、相変わらず元気だなぁ』…なんちゃって!!」 そんで署まで連れてかれてお説教。 たまに機嫌がいいと飯に連れてってくれたこともあった。 そんなお節介なオッサンが、ある日私のスーパーヒーローになった。 「……あの日もこんな感じに目が冴えてて、あんな馬鹿な喧嘩買っちゃったんだっけ……」 日頃から恨まれてた相手に囲まれてリンチ。 あとちょっとで輪姦されるってとこで、伊達さんが助け出してくれたんだ。 「……伊達さんカッコ良かったなぁ……」 『おう、クソガキ、相変わらず元気だなぁ』っていつもみたいに言って、私のこと軽々抱き上げて病院に連れてってくれた。 あまりの恐怖と安堵に泣き出した私を、朝方までずっと抱きしめていてくれたんだ。 「逢いたいよぅ…伊達さ〜ん…」 『何情けねぇ声出してんだ!!』 って絶対怒られる。 そんで優しく呆れたように笑ってくれるんだ。 私のあの好きな笑顔で。 「やっべ、今めっちゃドキドキしてきたっPiririririri!!狽っほぃ!?」 いきなり鳴った着信に、驚いて飛び上がる。 危うくベッドから落ちるところだった。 「誰だよんな時間に…って伊達さん!!?」 壮絶なタイミングの良さに、今度こそベッドから落ちた。 「いてぇ…てか、え? 何? テレパシーぃ?」 今、声聞きたいと思ってた人からの電話。 どうしよう、舞い上がり過ぎて膝がガクガクする。 「と、とりあえず出なきゃ…も、ももしもし?」 とにかく出てみると、いたずらかと思うほどに無言だった。 てか、しかも噛んだ。 「もしもし? だ、伊達さん?」 『…本当に出やがった』 え? かけてきておいて出たらビックリされるって何事? 「な、何かご用ですか?」 『…』 何で無視なんだよーい(涙目) 『……お前が』 「わ、私が?」 な、何かしでかしたっけ? てか、伊達さん声掠れて、せ、せせせセクスィーなんだけど!! 『……お前が、呼んだ気がしたからかけてやったんだよ』 「…」 何スか、その上から目線、とか。 伊達さん寝起き?とか、言いたいことたくさんあったけど、とりあえずこれだけは言わせて下さい。 ( あんたどんだけ惚れさせたら気が済むんですか!! ) ありきたりな日常 もう、毎日あなたの虜です。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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