愛してると言ってくれ
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ありきたりな日常
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「…」


ジー


携帯の液晶を見つめ、どのくらい経っただろうか。
しかもベッドの上に正座だ。
あの人のことを考えると、どうしたって緊張してしまう。


「あー!!
なんで昔はあんな普通に話せたんだろ…」


いや、普通というより、だいぶ態度悪かったけど。


「…んー!
やっぱ、もう電話無理かー!?」


こんなアホな私ですが、実は、一年前までちょっとは名の知れた不良だったんです。


「…はぁ…伊達さ〜ん…」


そんなムショ入り寸前、いやお先真っ暗な私を立ち直らせたのが、何を隠そう、今電話しようかしまいか悩んでいる伊達刑事だったんです。


「…明日も早いのに…全然眠れん…」


あの人は少年課でも生活安全課でもないくせに、必ず馬鹿な私を取っ捕まえに来る変なオッサンだった。

金髪プリンな頭に数え切れないピアスとだらし無い服装。

定番のコンビニ前にたむろしちゃあ喧嘩売ったり、カツアゲしたり。

あ、美人局なんかもやったけ。


とにかく、手当たり次第に何でもやったし、何でも諦めてた。

そんな私を、必ずあの人は捕まえに来るんだ。


「『おう、クソガキ、相変わらず元気だなぁ』…なんちゃって!!」


そんで署まで連れてかれてお説教。

たまに機嫌がいいと飯に連れてってくれたこともあった。
そんなお節介なオッサンが、ある日私のスーパーヒーローになった。


「……あの日もこんな感じに目が冴えてて、あんな馬鹿な喧嘩買っちゃったんだっけ……」


日頃から恨まれてた相手に囲まれてリンチ。
あとちょっとで輪姦されるってとこで、伊達さんが助け出してくれたんだ。


「……伊達さんカッコ良かったなぁ……」


『おう、クソガキ、相変わらず元気だなぁ』っていつもみたいに言って、私のこと軽々抱き上げて病院に連れてってくれた。

あまりの恐怖と安堵に泣き出した私を、朝方までずっと抱きしめていてくれたんだ。


「逢いたいよぅ…伊達さ〜ん…」


『何情けねぇ声出してんだ!!』
って絶対怒られる。
そんで優しく呆れたように笑ってくれるんだ。

私のあの好きな笑顔で。


「やっべ、今めっちゃドキドキしてきたっPiririririri!!狽っほぃ!?」


いきなり鳴った着信に、驚いて飛び上がる。
危うくベッドから落ちるところだった。


「誰だよんな時間に…って伊達さん!!?」


壮絶なタイミングの良さに、今度こそベッドから落ちた。


「いてぇ…てか、え? 何? テレパシーぃ?」


今、声聞きたいと思ってた人からの電話。
どうしよう、舞い上がり過ぎて膝がガクガクする。


「と、とりあえず出なきゃ…も、ももしもし?」


とにかく出てみると、いたずらかと思うほどに無言だった。
てか、しかも噛んだ。


「もしもし? だ、伊達さん?」

『…本当に出やがった』


え?
かけてきておいて出たらビックリされるって何事?


「な、何かご用ですか?」

『…』


何で無視なんだよーい(涙目)


『……お前が』

「わ、私が?」


な、何かしでかしたっけ?

てか、伊達さん声掠れて、せ、せせせセクスィーなんだけど!!


『……お前が、呼んだ気がしたからかけてやったんだよ』

「…」


何スか、その上から目線、とか。
伊達さん寝起き?とか、言いたいことたくさんあったけど、とりあえずこれだけは言わせて下さい。
















( あんたどんだけ惚れさせたら気が済むんですか!! )


ありきたりな日常
もう、毎日あなたの虜です。
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