空を見上げると、何だか一雨きそうな雲行きだった 少し急いで足を動かす 雨が降る前特有のジトッとした湿気が纏わり付いて、うまく前へ進めない ついには足が止まり、すぐ目の前の筈のビルに入れなくなる 悩んでいても仕方ないとは思うが、何となく動けずにいる 止まってしまうと、先程の映像が如実に頭の中を巡った 「…ほぼ泣いとったやないか」 赤く染まった目尻を撫でてやりたい 今にも嗚咽をあげたそうにする口を塞いでやりたい 震える肩を、抱きしめてしまいたい 「…何やっとんのやろ…俺…」 思い返すことを諦めて、素直にビルに入る 間一髪、自分がビルに入った途端雨が降り出した 「運がええのか悪いのか…」 自嘲気味に笑い、エレベーターのボタンを押した [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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