小説
雨露さんより二万打&誕生日祝い梗ブル






任務をいつも通り難なくこなして帰還した桔梗が見たのは、渋い顔でポテトチップスの袋に手を突っ込んで食べているブルーベルの姿だった。
その周りには既に完食された他の菓子の袋が丸められて、いかにも投げ捨てられましたといった感じに散らばっている。

「これはこれは…随分と荒れましたね。何か嫌なことでもあったのですか?」

落ちている空袋を丁寧に小さく畳みなおしながら桔梗が聞くとそれまで響いていた咀嚼する音がぴたりと途絶えた。
少しして、「どーせ、ブルーベルは口が悪いもん…」と彼女が言った。

無言で桔梗が先を促すとブルーベルはぽつりぽつりと今まであったことを話し始めた。
どうやら桔梗が任務に行っている間、彼女はザクロと先日の「性格を抜けば可愛い」から始まった喧嘩をしていたらしい。そしてお互いの悪口を散々言い合った後、

「ザクロがそんなに言うならお淑やかに女らしく振舞ってやろうじゃないの!」

「お淑やかに振舞うだあ?バーロー、そりゃお前とは対極に位置する言葉だぜ。半日も持たないに決まってるだろ。やれるもんならやってみな」

「言われなくたってやってみせますよーだ。後で吠え面かいても知らないんだから!」

となったらしいのだが、もともと感情が豊かと言うか、起伏が激しいこの少女のことだ。果たして、その後のザクロの挑発に勝てず爆発するのに時間はそう掛からなかった。



「挑発に乗っちゃったのも悔しいんだけど、アイツその後なんて言ったと思う?『つーか胸がねー時点で女らしくねえよ』よ!?胸関係ないじゃない!!」


話している内にまた腹が立ってきたのか、ブルーベルは「あーもうあったまくる!」と喚きながら食べきった袋を豪快に丸めた。桔梗がいる手前投げ捨てはしなかったが、乱暴にテーブルに叩きつけると新しいものを開封する。
桔梗はと言えば若干苦笑気味だった。いつものことながらこの二人の喧嘩は大人気ない。
ブルーベルはまだ子供にしても彼女と張り合うのはどうかと思う。彼等らしいと言ったら彼等らしいが。


「そう怒らないで…せっかくの可愛い顔が台無しですよ」

「お世辞なんていらないもん。桔梗だってどーせブルーベルみたいな口も性格も悪い女じゃなくてユニみたいな大人しい人形女の方が可愛いんでしょっ。びゃくらんもザクロもデイジーもみんなそうよ!」


それは違う、と桔梗は思った。
白蘭に関しては断言できないのだが、ザクロもデイジーもブルーベルに対してあれこれ言うが先日の件でも、一言だって彼女のことを可愛くないと言っていない。(が、それを彼女に伝えて二人の株を上げるつもりはない)

そもそもユニとブルーベルでは魅力が違うだろう。少々行き過ぎることもあるが、その口調や性格を含めた天真爛漫な振る舞いを自分は好ましく思っているのに。

「ブルーベルは可愛いですよ。心からそう思います」

「あっそう、ありがと」

投げやりに答える辺り、かなり拗ねている。先程から眉間の皺が消えることはない。
さてどうしたものかと考えた結果、黙り込んで菓子を食べるのに没頭しているブルーベルの頬に己の唇を寄せた。

驚いた顔をする彼女を無視して頬を舐め取るように僅かに舌先を動かすと面白い位に動揺しているのが伝わってくる。
すぐに顔を離すと少女はまだ混乱して目を白黒させていた。


「お菓子のかすが付いていたので取ったのですよ」

勿論嘘だ。口の周りならともかく、頬に食べかすが付く訳がない。ブルーベルはそうと気づかず顔を真っ赤にして呻いた。


「だったら…言ってくれれば自分で取れたのに…」

「ハハン、それもそうですね。ところで機嫌は直りましたか、ブルーベル」


そう言うと一瞬きょとんとした後、また彼女の白い眉間にくっきりと皺が刻み込まれた。ぷいっとそっぽを向くとこちらを見ずに食べるのを再開した。
だが決して怒っているのではないだろう、先程と違って頬が上気しているのだから。照れと言う奴だ。



歳の差は余裕の差



End





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