小説
紅コ様よりリクエストアルラン小説!
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バンプキンポップ


オレンジ色した、凹凸のある丸いカボチャ。
ランカがたくさん並んだ中から一つ手に取ると、アルトが不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
彼女は首を傾げて彼を見つめ返した。

「どうしたの、アルトくん?」

「いや……そんなに小さいカボチャをどうするのかと思って。食用じゃないんだろ?」

アルトが指差した値札の部分には、確かに“鑑賞用”と書かれている。ランカはそれを見て、彼が不思議そうだった理由を理解した。
確かに、鑑賞用と書かれたカボチャを熱心に見ていたら不思議に思うのも無理はない。
ふふっと笑うと、ランカは指を立ててアルトに言った。

「これでジャックオーランタンを作るんだよ!」



両手に袋を持ったアルトは、ガサガサ音を立てながらテーブルに置いた。
片方の袋は何ら変わらない料理の材料やら何やらだけれど、もう片方はそれは様々なものが詰まっている。飴やチョコレートなどのお菓子類、それからカボチャが2つ。内一つは例の鑑賞用カボチャだ。
小ぶりの鑑賞用カボチャは見事にオレンジに染まっており、トントンと叩いた感じ固そうだ。身はそんなに詰まっている感じはせず、小ぶりなことを除いても軽い。

「ランカー、カボチャ達はどうするんだ?」

「あっ、普通のはカボチャプリンを作るから冷蔵庫!小さい方は出しておいて!」

「了解」

パタパタと奥の部屋へ駆けていく様を見送り、アルトはカボチャとその他の食材を冷蔵庫へ入れた。
ランカの家に来るのは今日が初めてではない。もう幾度も訪れていて、使い勝手も大体分かっていた。ただし、玄関からちゃんと入れてもらえるようになったのはつい最近のことだ。過保護なランカの兄達相手ではなかなか大変なのだ。

「アルトくん、もうちょっとかかるから包丁とまな板とスプーン出しておいてくれるー?」

「んー」

戻って来たかと思ったらそれだけ言って、また踵を返すランカ。そっちを手伝ってやっても構わないけれど、とりあえず頼まれたものを準備する。包丁、まな板、それからスプーン。
ランカは洗濯物を取り込んでいる。一日の洗濯物は結構な量があるらしく、取り込むのも畳むのも大変らしい。
それもそうだろう。ランカの服にオズマの服、そしてブレラの服もあるのだ。三人分となれば多くて当たり前だ。

アルトは手持ち無沙汰になり、奥の部屋を覗いてみた。

「ランカ?」

ベランダと隣接した部屋は、どうもオズマの部屋らしく、いくつか飾られた写真はほとんどがランカの写真だった。
小さい頃からつい最近のものまで、オズマのランカに対する愛情が感じ取れる。
アルトは一つを手に取って、つい笑ってしまった。

「あれ、アルトくんここにいたの?ごめんね、待たせて」

「いや、平気だ。それよりランカ、この写真…」

「……あっ!み、見ちゃダメ!!」

ランカが写真を取ろうと飛び込んできたのを軽く抱き留めながら、写真は高く掲げてじっくり眺めた。
そこに写るのは、小さい頃のランカ。今より幼いけれど、あまり見た目は変わらない。けれど圧倒的に違うのは、

「お前、これ自分でリボン結んだのか?すごい髪型だぞ」

「は、初めて一人でやったんだもん!お兄ちゃんには褒められたんだよ!」

その後直されたけど…と、そう頬を膨らますランカが言うように、きっと褒められた後の一枚なのだろう。写真に写るランカは満面の笑みを浮かべて手を上げている。
微笑ましいリー家を垣間見て、何だかくすぐったい気分をアルトは味わっていた。
「うぅー」と悔しそうに唸りながらも大人しく抱きしめられているランカが、いつも以上に愛おしく感じて、そんな自分が少しおかしかった。写真を戻して、一度ランカをぎゅっと抱きしめてから解放した。

「ほらランカ、カボチャやるんだろ?」

「あっ、そうだった!」
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