小説
みくさんより相互記念就鶴!


雪が、はらりはらり。
このところまた冷え込み、中国地方も毎日雪が降っている。



「日輪よ…今日も姿を現さぬか…」



毎日雪、雪、雪の天気であり空も真っ白である。元就の崇拝している日輪は一向に姿を現さない。元就はそんな毎日にやきもきしていた。



「日輪も姿を現さぬし執務をやる気が起こらぬわ。」


机にひじをついてあぐらをかきはじめる。
やらなければいけない仕事は山のようにあるものの、ダメなのである。


日輪が見たい。日輪を拝みたい。元就はそればかり考えていた。



そのとき。



外から一筋の光が差した。



「ま、まさか日輪っ!?」



急いで外へ出る。するとさっきまでの雪はどこへやら。



外は晴れていた。
元就の大好きな日輪も雲の隙間から顔を覗かせていた。



「おお…日輪よ…」



元就は久しぶりの日輪に感激し、祈りを捧げていた。



つん、つん、



誰かが元就の背中をつついている気がしていたが、日輪信仰中の彼は思いっきり無視していた。



つん、つん。



「毛利さん?」



誰かが自分の名を呼んでいる気がしたが元就は無視していた。



「毛利さん!」



「……………」



「元就さん!!」


鶴姫が元就に後ろからぎゅっと抱きしめた。



「な、貴様!!何をしておる!離れぬかっ!!」


「だって…元就さんたら私がせっかく会いにきたのに全然振り向いてくれないんですもん」



鶴姫はむくれている。口には絶対出さないが元就はそんな鶴姫を愛しく思った。


「貴様がこちらへ向かう途中、雪は降ってなかったのか?全然濡れてないようだが」


「雪?いいえ!私が外に出たときは雪なんて全然降ってませんでしたよ☆とても良いお天気でした!」



元就はそれを聞いて驚いた。そういえば、前も雨が降り続いた日があって元就がげんなりしていたときに鶴姫がこちらを訪れた。すると、雨がピタリと止んでとても良い天気になったのだ。



そして今日も鶴姫が来たら雪が止んだ。偶然なのか、鶴姫は晴れをもたらしてくれるのか。



…一緒にいたら、日輪を毎日見れるのだな。
一緒に日輪を見たい。


「おい鶴姫」


元就が鶴姫の体を自分の方に引き寄せ、抱きしめた。


「元就さん!?」


「貴様は、我の日輪ぞ。だから我のそばから離れるな。」



顔を赤らめて言う元就に鶴姫は微笑んだ。



「はい、私がいつも元就さんを照らしますよ!!日輪に負けないようにドーンと☆」


「いや、やはり本物の日輪には負けるな」


「元就さんたら!自分で言っといて何ですかっ!」


2人は顔を見合わせて笑った。



そんな2人のことを日輪は静かに優しく照らしていた。





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