1/3ページ目 彼女はテレビの収録でテレビ局にいる。 仕事が終わったら、エントランスで待っていると言っていたが。 近づいていくと、彼女の姿が見えた。 「ランカ!」 「あ、アルト君!」 緑の髪がふわっと上がって、嬉しそうな顔で俺の方に駆け寄ってきた。 「悪い、待ったか?」 「ううん、私もさっき終わったところだから♪」 俺に朗らかな笑顔をくれる彼女は、フロンティアで「超時空シンデレラ」と名高いランカ・リー。 彼女が、俺の奥さん。 結婚してからまだ2週間ぐらいしか経っていないが。 長い戦闘を終え、平和な生活を取り戻した頃、俺はランカに想いを告げられた。 何事にも頑張り屋で、時に見せる切ない表情も、温かい優しさを持つ彼女が好きだったから。 俺はランカの想いに答え、俺達は付き合い始めた。 お互いの仕事で、逢えない時間も多くて、時に、ケンカもしたこともあったが、俺達は愛を育んでいった。 そして、俺はランカにプロポーズをした。 「これからもずっと、お前と一緒にいたい。俺のそばにいてくれないか」 と、告げて。 2人で一緒に家に帰る。 お互いの歩幅を合わせながら、歩いた。 目が合うと、ランカは、ニコッと笑い、穏やかな笑顔を俺にくれた。 それが、小さなことでもとても大きな幸せなんだって、思う。 「ねぇ、アルト君」 「ん?」 ランカは立ち止まって、頭を下げ、俯いていた。 「どうした?」 「あ、あのね。………お願いがあるの」 だんだん小さくなっていくランカの声。 俺は首を傾げ、ランカと目線を合わせるように、身をかがめる。 顔を見ると、頬が少し赤くなっていた。 「あ、あのね」 「ん?」 「………手、繋いでくれる?」 一瞬、時間が止まったように思えた。 ちょっと、ビックリして。 突然、ランカから言ってくれるから。 付き合ってる頃から当り前のように、手を繋いでいただけあって。 「そんなの、叶えてやるに決まってるだろ。 ずっと、その願い、叶えてやるよ」 俺が手を差し伸べると、ランカは満面の笑みを浮かべて、そっと俺の手に自分の手を重ねた。 「ありがとう、アルト君」 「早く、帰ろう。腹減った」 「うんっ」 そうだ、ずっと、ずっと。 手を繋いで、一緒に歩いて行こう。 そう思いながら、夕焼けに染まるフロンティアの街を歩き出し た。 * <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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