捧物
【50500キリリク(学パロ就鶴、小説)】
50500キリリク(学パロ就鶴、小説)

「毛利さん、毛利さん」


「…何ぞ」

「もうすぐクリスマスですよね!わたし、すっごく楽しみで!」

「…」


(…この女は。)


ましてや今は授業中。
小声ではあるが、どうしてこうも平気でこのような話ができるのか元就には分からなかった。
そしてさらに分からぬこともある。

(…何故、我なのだ。)

この日ばかりではない。
月初に席替えをして以来、前の席になった鶴という女はやたらと自分に絡んでくる。

一度、冷たくあしらった事もあった。
その時は「もう毛利さんなんて知りません!」などと叫び、その日はもう話しかけてはこなかったものの、次の日になるとまるで何事も無かったかのように話しかけてくるのだ。

正直、鬱陶しいと思う。

自分は某有名国立大を目指して猛勉強中の身である。
もちろんクラスではずば抜けたレベルの筈だ。

それに対して、勉強を聞かれて分かったのだが、鶴は本当に勉強が出来ない。

皆が覚えているであろう基礎公式まで覚えておらず、覚えさせても応用が出来ないのだ。どこで使えば分からない、のだとか。

…と、そんなことはどうでもいい。

とにかく、もう放っておいて欲しかった。


「プレゼントを交換しましょう!」

「…は?」

「ですから、」
鶴が再び話始めた時、ふと教師の視線に気付いたので、「ク…ふぐっ?!」
…とりあえず黙らせておいた。


***

授業が終わり昼休みに入ると、再び鶴は話しかけてきた。

「さっきの件なんですけど…」

元就は迷惑そうに顔をしかめた。
「…プレゼントがどうとか」

「ハイ!」

眩しいくらいの笑顔で彼女は続けた。
「今クラスで、プレゼント交換が流行ってるんですよ!知りません?」

「…知らぬわ」

「そ、そうですか…とにかく、私と交換しましょ、ねっ」

(何が「ねっ」だ)

元就はこのようなイベントには全くと言っていいほど興味はない。
クラスのホームルームの時間のイベントでさえ面倒臭くなって、こっそり抜け出しかけた程だ。…結局、この女に止められたのだが。

「…嫌、だ」

「ええーっ、何でですかー?!」

…まあ一度で納得してもらえるとは思っていなかったが、オーバーリアクションである。

話すのも面倒であったが、そんな時間はないのだと説明するために口を開きかけたが、鶴の言葉によってそれは阻まれた。

「毛利さん、もしかしてビンボーなんですか?プレゼントを買うお金もないとか…」
軽く涙目である。

それを聞いた瞬間、元就はついカッとなってしまった。

「な…?!違うわ!そのような金くらいはある!」

「じゃあ決まりですね♪楽しみにしてますっ」

「…な…?!」

…なぜこうなるのだ。
勝手に決められてしまった。しかも本人の合意もなしに。
今更気付いても遅いのだが、彼女のペースに完全にのまれてしまっていた。


***

結局何もせぬまま、プレゼント交換の前日を迎えてしまった。

というのも、元就は女性にプレゼントを送ったことがなく、何が女性に喜ばれるのかを知らないからだ。

正直このまま放っておくという手もあるが、それは自分のプライドが許さない。

「…。」

元就はふと、一軒のアクセサリーショップに目をやった。
純白を基調としたアクセサリーのポスターが展示されている。

…これならいけるのではないか。

彼女が気に入るかは別として、これらは鶴には似合いそうだと思った。

明らかに女性向けの店だったので当然躊躇ったが、迷ってなどいられない。
自分には時間がないのだ。

シンプルなブレスレットを購入し、元就は店を出た。

(…ふ、もう貧乏などとは言わせぬわ)

心ではそのようなことを思っていたが、頭のどこかでこれを身に付け微笑む彼女を思い浮かべ、自然と口許が緩んだのに元就自信は気が付かなかった。



「プレゼント交換」



(わあ、かわいいですっ!毛利さん大好き!)

(な、し、しがみつくな…っ皆の前で!)





‐‐‐‐‐‐


ツバキさんへ捧げます。

就鶴(…のつもりな)小説です(><)

うーん…素敵な文才と想像力が欲しいです(笑)

では、リクエストありがとうございました!
こんなのでよろしければもらってやって下さいm(__)m

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